text : toru hachiga

エリック・ロメールの映画が日本ではじめて公開されたのは、1985年有楽町スバル座で上映された『海辺のポーリーヌ』。その後『満月の夜』以降エリック・ロメール作品を単館上映していたのは今は閉館してしまったシネヴィヴァン六本木だった。エリック・ロメールの映画をグループ会社のシネセゾンが配給していたということもあるが、1999年の閉館まで合計18作品(短編オムニバス映画『パリところどころ』含む)エリック・ロメールの映画を上映している。(注:『モード家の一夜』のみが旧ユーロスペースで公開)。

ヨーロッパ映画を中心に上映するミニシアターとして1983年11月に開館したシネヴィヴァン六本木は、エリック・ロメール以外にも、ジャン=リュック・ゴダール、アンドレイ・タルコフスキー 、ダニエル・シュミット、ビクトル・エリセ 、アキ・カウリスマキなどのヨーロッパを中心とした個性的な監督作品を上映して人気の映画館だった。映画パンフレットには、全シナリオが収録されていて、映画を観終わったあとに、もう一度楽しむことができた。

なかでもエリック・ロメールの作品には力を入れていたようで、1987年〜88年に公開された『満月の夜』(1984・日本公開1987年1月)『緑の光線』(1985・日本公開1987年4月)。『友達の恋人』(1986・日本公開1988年7月)の3作品はエリック・ロメールの人気に火をつけ、エリック・ロメールといえばシネヴィヴァン六本木というほどにもなった。その後もファンはエリック・ロメールの新作を見るためにこの映画館に足繁く通った。

もちろん、特集も面白かったが、『パーマネントバケーション』(ジム・ジャームッシュ監督)『今宵かぎりは…」』(ダニエル・シュミット監督)『ナック』(リチャード・レスター監督)『ムッシュー』(ジャン・フィリップ・トゥーサン監督)などのレイトショーには場所柄、当時のオシャレな人たちが集まり人気があった。当時はまだ珍しい定員入れ替え制で、エリック・ロメールに限らず、大きな海外版のおしゃれなオリジナルポスターが館内に貼ってあったり、カウンターでコーヒーやお酒を飲みながら映画の上映まで過ごしてていた。『ナック』のレイトショーに行った時には、会場はフリッパーズギターのようなファッションの女の子と男の子ばかりだったのもなんだか懐かしい。

 

■写真:左から 映画パンフレット『海辺のポーリーヌ』(1985年6月15日発行 フランス映画社)、『緑の光線』1987年4月25日発行(1987年4月25日発行 シネセゾン)、『友だちの恋人』(1988年7月9日発行 シネセゾン)、『満月の夜』(1987年1月17日発行 シネセゾン)。

 

(QUOTATION No.26より 一部抜粋)